近年中国メーカーの躍進が続くTFT液晶業界ですが、その変化のレベル、内容を今回は国勢義別の売上金額で2013年と2019年で比較考察してみました。
※注: 中小型TFT液晶の定義は、サイズが11インチ以下の製品としました。
中小型TFT液晶国籍別売上金額(¥億)
2013年、日本は1位でしたが、2019年では中国が1位となっていて中国メーカーの躍進がうかがえます。
中国の上位2社(天馬・BOE)はいずれも中国政府が国策として支援している企業で、その資金力と設備投資、人材確保した結果が出ています。
対象的に、日本・台湾・韓国メーカーは市場シェアを大きく落としていて、日本・台湾メーカーでは10%以上も下落しています。
日本ではシャープの衰退が大きく影響しており、台湾の場合、中国メーカーにシェアを取られて廃業した企業(WINTEK他)があるためと考えられます。
韓国メーカー2社(LG・Samsung)もシェアを落としていますが、2社共にTFT液晶から有機ELに事業転換進めています。
中小型TFT液晶製品市場について
液晶表示器は1968年に米RCA社で製品化されて以後、シャープによる電卓での採用や家電機器への採用と共に改良、発展し、20世紀を代表する電子部品になりました。
TFT液晶は技術革新が進み性能も現在ピークにあり、今後はこれに代わる有機EL、マイクロLED等の次世代ディスプレーの移行が期待されています。
製品開発プレーヤーは、米国~日本~台湾~韓国~中国と変遷してきた経緯がりますが、2019年時点では開発生産の中心は中国メーカーになっていて、世界の経済情勢を示す製品とも言えます。
液晶産業は整備投資産業であり、新規製品を新規設備で作り続けなければ他社と価格対抗ができないというジレンマがありますが、それは半導体、特にメモリー製品も同様です。
売上が減れば資産も減るため設備投資が出来ずに継続プレーは不可能となってしまい、退場となる運命になってしまい、結果として、企業倒産、合併が繰り返されています。
事実として、日本ではJDIが2011年に設立され、シャープはFOXCONNの子会社となりましたし、パナソニックも2019年11月に事業廃止を決定しています。
台湾でもWINTEK、CPTは倒産し、複数の企業(AUO・INNOLUX等)は合併しています。
オールジャパン液晶メーカーとして巨額な税金支援で設立されたJDIですが、近年は工場停止、リストラが繰り返されています。
新たな市場を創造出来る革新的な次世代ディスプレーの登場を期待しています。
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