昨今、中国リスク(賃金高騰・関税問題等)が騒がれていますが、その回避策としてマレーシアは受け皿になるのか?という事で、2019年6月に実際にマレーシアを訪問し実地調査を行ってきました。
各種の情報、動向が得られましたのでその一部をご紹介させていただきます。
Formosa Prosonic
Formosa Prosonic社の母体は台湾で設立され、現在はクラン工業団地に本社工場を移転し活動しています。
扱う製品はスピーカー・モールド成型品・電子ピアノ委託生産等です。
同社のMr. Yow siew weiと面談し、セランゴール・クラン地区の業界動向のヒアリングを行いました。
ローランド電子ピアノ展示
営業担当のMr.Yow
Formosa Prosonic社の経営状況
現在の大手顧客は順に、ローランド・SONY・Panasonicの3社になります。
売上のピークは2012年のU$278Mで、以後、日系AV家電メーカーの衰退のため売上は減少しています。
対策
空いたラインの一部を工場ごとローランドに貸与し、スピーカーとモールド成型品及び、木製ユニット品を委託生産しています。
これにより、運送費を大幅に節約することが出来ました。
またプラスチック成型工場は、業界、製品を問わず受注する事で2016年より売上は回復しています。
更に、工員の年齢制限を25歳までと改定し、これにより工員の平均賃金はRM1500(約¥40,000/月)に設定しました。
この金額は、セランゴール地区としては安い値になります。
セランゴール・クラン地区の業界動向
日系家電メーカーの一部は同地域より撤退していますが、それら跡地に欧米メーカーが既に進出しているため、大きな影響はありません。
また某日系メーカーのAV機器製造工場では、AV機器の製造はやめて白物家電製造に切り替えています。
X 社のペナン工場はクローズ予定であり、セランゴール工場に集約予定であると聞いています。
クラン地区にはマレーシア最大の港湾設備があり、セランゴール地区で製造された
製品を輸出し、また。海外からの製品・電子部品等を輸入しています。
マレーシアの平均工員賃金
セランゴール地区にて、工場ラインワーカーの工賃は¥45,000~50,000となっています。
この値は中国深圳の平均値¥55,000~60,000と比較すると、2割程度安い値になっています。
中国リスクの回避対策としてマレーシアに生産移管している日系企業が増加してきているのが頷けます。
Prosonicd社 売上推移
工場全景・ローランド工場
セランゴール・クラン地区でのポイント
- 同地域は社会インフラは確立し治安も良い。英語で意思疎通ができる利点がある。
- 工賃平均¥45,000~50,000であり中国より安い。中国からの生産移管が徐々に増加している。
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