昨今、中国リスク(賃金高騰・関税問題等)が騒がれていますが、その回避策としてマレーシアは受け皿になるのか?という事で、2019年6月に実際にマレーシアを訪問し実地調査を行ってきました。
各種の情報、動向が得られましたのでその一部をご紹介させていただきます。
先ずは、マレーシアについてです。
マレーシアの状況(2019年)
- 人口: 3,205万人
- 国土面積: 33.3万Km2(日本の0.87倍)
- 首都: クアラルンプール(人口179万人)
- 民族: マレー系:69%、華僑:23%、インド系:7%)
- GDP成長率: 4.7%
- 名目GDP: U$35,4378M(世界No.37)
- 一人当たりGDP: U$10,942
- 失業率: 3.3%
- 主要産業: 電気機器製造、天然ゴム、原油、LNG、錫
- 政体: 立憲君主制
以上の様に、日本とほぼ同等の国土を持つも人口は1/4と少ない東南アジアを代表する国です。
マレー半島端のシンガポールは、マレーシアから1966年に独立した経緯があります。
その原因は、民族問題に起因します。
マレーシア地域には、マレー系・華僑系・インド系と多様な民族が共存しています。
しかし、マレーシアとしては先住民族であるマレー系を優遇する制度があり、対する華僑系が多く住むシンガポールはそれに反発して独立しました。
マレーシアの歴史
- 1400年: マラッカ王国設立
- 1641年: オランダがマラッカ占領
- 1795年: イギリスがマレーシア占領
- 1942年: 日本軍がマレーシア占領
- 1962年: マレーシアが独立
- 1966年: シンガポールがマレーシアから独立
以後、マレーシアは豊富な資源と余りある国土を基に産業改革を進めました。
その代表はLook East政策でありずばり”日本に学ぶ”をスローガンとして集団主義・労働倫理を模範する内容であり、日本への留学や日本企業誘致し産業拡大を進めました。
それを推進したのが、現在も首相に復帰したマハティール氏(現在93歳)です。
これにより、建設業・電気産業各社は低賃金対策も兼ねてマレーシアに進出し、加工貿易を拡大しました。
しかし、2000年以後は賃金高騰と中国の台頭により家電メーカーの撤退が増加しています。
それら対策として、新たな政策としてVISION2020を立案し2020年までに先進国となるべく産業改革を進めています。
具体的には、既存の加工貿易からより先進性の高い通信・IT系産業を育成拡大を狙うというものです。
首都のクアラルンプール近郊にサイバージャと言うサイエンスパークを設立し、外資メーカーを誘致しています。
しかし、既に2019年の今日、マレーシアの先進国入りは極めて厳しのが実情です。
期待の新期産業育成も進んでいない状況です。
マレーシアが抱える課題・問題史
- 国内企業が拡大していない。特に自動車産業の育成は足踏みしている。年間生産台数は、28万台(2018年)で30万台は輸入車である。
- 家電機器・産業機器もLook East以後に誘致した外資メーカー頼みであり国内メーカーは成立されていない。
- 労働者が不足しており、隣国(インドネシア・ミャンマー)から不法入国勤労のケースが増加している。
- マレー系優遇制度(ブミプトラ政策)は根本的な課題があり、民族の対立問題に成りかねない。
マレーシアの人口ピラミッド(2018)
マレーシアと日本のGDP 成長率
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