J-Chipではお客様をお招きして、年に一回「J-Chipユーザー会」というものを行っています。
弊社は電子部品の選定~調達業務の最適化の支援を行っている会社なので、弊社のお客様は、電子部品/半導体の「海外部品発掘」や「技術情報収集」「品質評価」などで、同じような業務や課題を抱えていらっしゃいます。
J-Chipユーザー会は「品質と調達」における「共通課題」に対し、協業による解決を目指すための場で、勉強会と懇親会を開催しています。
2018年7月に行ったJ-Chipユーザー会では「電子部品の供給逼迫とその対策」についての勉強会を行いました。
これは、2017年に勃発した、村田他大手MLCC(マルチレイヤーセラミックコンデンサ)製造メーカーでの供給逼迫問題の対策として、代替メーカー情報提供の依頼や個別コンサルの依頼が、弊社に多々寄せられているためです。
この時配られた資料「J-Chipユーザー会2018年 電子部品の供給逼迫とその対策」の中から一部をご紹介させていただきます。
MLCC製造メーカー「Vishay」の動向
今回、MLCC製造大手5社を除くMLCC製造メーカー全10社に、動向のヒアリング調査を行いました。
その中から「Vishay」についてのヒアリング調査の結果をご紹介いたします。
Vishayは米国ペンシルベニアに本社があり、半導体メーカーとして知られています。
元々、抵抗器製造で起業し、その後Siliconix社などを買収し、今は半導体製品にも力を入れています。
そんな中、MLCC製品も製造しており、2017年度のMLCC製品の売り上げは174億円で世界市場シェアは約2%(第9位)です。
MLCC(マルチレイヤーセラミックコンデンサ)製造メーカーとして、欧米では大手になります。
2017年MLCCメーカー別売金額シェア(¥億)
世界市場規模:¥8,617億
引用:J-Chipユーザー会2018年 電子部品の供給逼迫とその対策
- 2017年時点で、上位2社(村田/SEMCO)の市場シェア合計は52%と増加した。特に村田製作所の市場シェアは33.9%と増加しており顕著である。
- TDKは販売減少/太陽誘電の伸び悩み等に加えて世界以上での需要拡大もあり、村田製作所に発注が集中したと推測できる。
Vishayでは、MLCC製品の70%は車載向けになっています。
現在、MLCC製品の受注量は生産キャパの1.4倍を超える状況でありリードタイムが拡大傾向にあります。
MLCCの供給逼迫問題
今回、MLCC製造メーカー全10社に、動向のヒアリング調査を行いましたが、殆どの企業でMLCC製品は生産キャパがオーバーしており対応に追われている事が分かりました。
今後の、MLCC製品の確保に向けた対策としては、設計変更での対応や、ALT化・品揃えの徹底になってくるかと思います。
また、あくまでもスポット的な対策になってしまうかもしれませんが、協力企業/提携企業/近隣企業間で該当部品の相互貸与というのも今後有効な手段になってくるかもしれません。
実際に過去、災害等による製造停止その他の原因で、電子部品供給が逼迫した時に協力企業/提携企業/近隣企業間で該当部品の相互貸与が行われています。
特に、所要が多い家電メーカーでは度々これらが行われています。
ただ、MLCC製品のように品種数が多い場合に有効な手段となるかは、検証が必要です。
品種別情報・セラミックコンデンサ 設計段階から徹底できるEOL対策・代替品調査 電子部品市場シェア調査
***下記2019/10追記***
j-chipがお手伝いできること
今回のMLCC教協逼迫に対して、村田製作所をはじめとして2018年より増産体制を取っており、徐々にMLCCのリードタイイムは短縮方向との情報がありますが、村田製作所の要請で小型パッケージ製品(0603サイズ)への代替作業に追われていたり、新規メーカー開拓に苦労されているメーカー様もあるようです。
弊社では、これらお客様のお困り事の一部を”業務代行支援” させて頂いております。
今回の案件事例では、下記がその代表です。
代替品調査
具体的に、村田製作所製品と同等仕様の製品を”ご希望するメーカーにて代替調査”致します。
詳細仕様等の要件はお客様のご希望に従います。詳しくはこちらをご確認ください。
代替品調査サービス 詳しくはこちら(PDF)
電子部品信頼性評価試験支援査
MLCC製品の信頼性評価試験資料提供と、その説明を行います。
ご要望により、具体的な評価も外部機関と提携して行います。
メーカー情報提供・開拓支援
MLCCメーカー売上金額グラフで、伏字のメーカー他の総合評価結果情報を提供致します。
その他、お客様にて検討予定のメーカー調査を行います。